21世紀後半に開発された対地攻撃用の衛星兵器。

2060年代、人類史上初めて本格的に設立された宇宙戦力である米空軍宇宙遠征部隊は、KRVの運用を前提として編成された。

宇宙常駐部隊は反撃を受けにくい衛星軌道上から地表を一方的に攻撃することを目的としている。もちろん制圧自体は地上戦力が行うが、その準備段階である攻撃を一切の人的損耗無く遂行できるというメリットは、機材の開発や人員の育成に要するコスト、そして国際社会からの強烈な反発などの問題を差し引いても大きなものであり、他国に先んじられる前に是が非でも実現する必要があった。

創設にあたり特に必要とされた機材は、地表観測用衛星群と対地攻撃用火力システム、そしてキラー衛星である。上記のシステムにはデブリ回避マニューバおよび軌道修正のための推進モジュールが必須とされており、それらはKRVのベクタードエンジンのメカニズムが転用できると考えられた。

その後計画が進められる過程で、観測システムはKRV、対地および対衛星攻撃力はオートマトンが担うこととなり、さらにそれらを数ヶ月にわたり運用する為の拠点施設が同時に開発される事となる。これら宇宙用KRVは拠点を防衛する為のベーシックと攻撃の為のアドバンスドに分化し、最終的にCVS-2オルカ級宙母とMBPマーク2ヘタイロイ、そしてPA-1メトロノームという3種の兵器が軌道上へ配備され、実戦投入されることとなった。このKRVを中心に据えた宇宙軍事戦略により、日米同盟は開戦から数ヶ月でアジア連合軍から日本を解放することに成功し、最も楽観的に想定されたロードマップにおおよそ近い形で行動計画を推進していくことになる。

しかし、露中もまた米国と同様の宇宙軍事戦略を押し進めており、露軍アドバンスド機SiP-1が軌道上へ配備された事により状況は大きく変わった。PA-1は対アドバンスド戦闘を想定して開発されたSiP-1との交戦により大損害を被り、日米は軌道制宙作戦のタイムスケジュールを大幅に改変せざるを得なくなる。

結果として、アドバンスドは対地攻撃管制システムから、スタンドアロン的な航宙機として再設計されることとなった。運用形態からフレームまで大幅に改変され、原型機からは黒体エンジンやマイクロマシンといった中枢モジュールのみが転用された。この大胆に過ぎる戦略の転換には、大戦初期から中期にかけて人知れず勃発した月面に置ける会戦の推移が、各国首脳陣の宇宙戦略に対する認識に大きな衝撃を与えた為とも言われているが、詳細は明らかにはされていない。