KRVの起源は、21世紀初頭に運用されていた歩行重砲にある。

歩行重砲は山林や市街地などの車輛が入り込めない不整地にて歩兵に随伴する移動陣地であり、会敵すれば瞬時に特火点や掩体と化し、即席の拠点として機能した。歩行重砲は非対称戦争における小火器同士でのぶつかり合いにおいて人的損耗を大幅に抑えることが出来る有効なシステムであるとされていたが、一方で正規軍同士による大火力の応酬では全く役に立たないと目されてもいた。

やがてUAVやUGVなどの無人兵器が普及する時代になると、それらを統合管制するストリングスユニットと、そのストリングスユニットを最前線にて運搬する機材の配備が求められ、最終的にKRVを転用した管制機が開発されることとなった。KRVの走破性能を発揮できるフィールドとUAVやUGVなどの無人兵器が投入されるシチュエーションは合致しており、またKRVはもともと重砲を運用するために高度な電子機器を搭載していたため、わずかな改修で要求された性能を得ることができたのである。

この兵器は後に現代戦の花形となる管制型KRVの嚆矢であり、いわゆる第一世代ベーシックKRVと呼称されることとなったのであった。

近接防衛システムに戦術高エネルギーレーザーを採用した機体。
UAVやUGVを管制するための高出力レーダードームが備えられた機体。